アントニオ猪木さん 元プロレスラー 参議院議員 スポーツ平和党

1993年04月-月刊:介護ジャーナル掲載より

先日、中東に行った折りに、ドイツの老人ホームの施設を視察してきたばかりですが、先進国である日本は、施設ではまだ先進国の仲間入りしていないのが現状だと思います。
これから老人ホームや障害者施設にしましても、介護する人と両立しなければならないわけで、その両者のための都市づくりを考えています。
また、土地の問題、住宅問題にしましても、日本は車椅子で動けるだけのスペースの確保は難しいわけですが、アメリカでは寝室からトイレ、浴室までをきちっと設計したものがあるので、貿易の是正も含めて日本への導入も考えていこうと思っています。
しかし、この施設や建物はお金があればできることですが、一番の問題は介護する人づくりです。本気で介護してくれる人をどう育てるか。
それには精神的なものの高まりも大切ですし、介護する人達の地位も当然高めてあげなくてはならない。
そして、3Kでも喜んでやってくれる外国人労働者の労働の活用も考えなくては、きれいごとだけでは通らなくなると思います。
また、現実にいま私の女房の親父が施設に入ってリハビリをしていますが、日本はリハビリやスポーツ医学にしましても遅れています。
私自身、再起不能といわれるケガを幾度もしながら再起してきたのも、ある意味ではいい情報を持ち、いい先生に巡り会え、自分も経験を積みながら治療してきました。
高齢化に向けて、私たちの経験とノウハウも含め、予防医学というものを医療と併用することによって、お年寄りや障害者が一般の人達と同じまでにいかなくとも、元気で過ごせるような予防医学というものを、われわれスポーツ平和党としてもっと発達させていこうと考えています。
医療、福祉において、いろいろな専門家の考え方や方法があって当然です。いろいろな角度から見た情報を、この「KAIGO journal」というメディアを通じて公開されることは大切であり必要なことだと思います。
情報がないために困っている人達は多いのですから。