橋本 大二郎さん 元高知県知事

1994年01月-月刊:介護ジャーナル掲載より

“長寿国日本”は国の豊かさの現れ

NHK勤務から平成3年末に、草の根運動によって高知県知事に就任した橋本大二郎氏は、地方行政の不安と、安定より変革を望む未来指向の強い高知県民によって誕生した。
全国的にも高齢化比率の高い地域だけに、将来に対してその手腕が期待されている。

高知県の高齢化比率は、平成4年度で65歳以上が18.6%、全国平均が13.1%。
また、60歳以上においては全国比率が18.7%に対して、高知県は25.7%と大幅に上廻っていることから、その対応が急務であるとの認識のもと高齢者対策が進められている。
橋本大二郎知事は「日本は短期間のうちに、世界中において名だたる長寿国になるわけですが、これは決して問題視されるものでもありませんし、国の豊かさの現れだというとらえ方をすべきでしょう。
また、政策的には高齢者保健福祉十か年戦略(ゴールドプラン)に基づいて、医療、保健、福祉の連携により、在宅ケアの推進を図っていかなければなりません。
そのために必要な可能な限りの政策に取り組んでいくつもりですが、福祉行政全般を変えていくには時間のかかることです。
また、いくら行政が推し進めても政策を広めなければ意味のないこと、もっと広報を活用し、県民とのコミュニケーションを図っていかなければならないと考えています」と述べている。
平成5年度中に策定が義務づけられている老人保健福祉計画作成の中で、各施設の充実とともに、高知県としては総合的な高齢者福祉を推進するため「高齢者福祉総合センター」の整備をあげている。
また、平成5年度は在宅介護支援センター機能を活用した“安心の情報ネットワーク事業”や、複数の市町村が共同でホームヘルプサービス事業やデイサービス事業を実施する第3セクターの“介護公社設立支援事業”を加えている。
そして、高知県独自の政策には、高齢化の進行を単に老人の問題としてとらえるのではなく、少年、青年、壮年、すべての時代に通ずる問題として、健康作りや福祉の充実、就労のシステムづくりなど、あらゆる分野にわたる課題について総合的、効率的な行政運営を図り、真に豊かな長寿社会の実現に向け“長寿県づくり構想”を推進して行くとしている。
さらに、福祉の拠点となるべく施設として、“ふくし交流プラザ”を平成7年度完成に向け整備していくなど計画している。
橋本知事も個人的には、5年前に脳溢血で倒れ東京で入院していた母の正(まさ、79歳)さんを高知市の病院に転院させたばかり、左半身マヒの正さんは車いすの生活でリハビリを行っているが、福祉についても関心を持たざるを得ないようだ。