高橋 圭三さん

1993年05月-月刊:介護ジャーナル掲載より

プロの芸で“心の福祉”を担う全国の老人福祉施設1075カ所を慰問

芸能人のボランティア活動は個々に行われているが、今年14年目になる『虹の会』は、この3月末で47都道府県を一巡し1075カ所の老人福祉施設を慰問。
プロの芸をみせて“心の福祉”をお年寄りに提供している。
この社団法人『虹の会』の理事長として社会福祉活動に努めているのが、放送人として昨年50周年を迎えた高橋圭三氏(74歳)である。
もともと大衆芸能を後世に伝えようという趣旨で、芸能・文化人2世によって設立されたグループが母体。
やがて高齢化社会になりお年寄りにプロの芸能を楽しんでもらおうと「虹のビッグスペシャル」を開始。
厚生省からも活動が認められ社団法人の認可を得て、昭和62年から「虹のキャラバンカー」で全国を巡回慰問している。

◎芸能人は手弁当で全国を慰問

昨年だけでも230カ所の老人ホームを慰問、今年は関西地区の施設を訪問するそうだが、出演する芸能人は手弁当。移動費用は年1回のチャリティパーティーのチケット収入と、日本船舶振興会から助成を受けて活動を続けている。
「特定の企業に頼らずに、大勢の人達と一緒にやることが好ましいスタイルだと思っています」と語る高橋圭三さんは、時間があれば一緒にキャラバンカーで慰問する。
「自分が慰問されたい齢ですよ」と語りながらも、老人ホームを訪れることはボケないクスリになるという。

お年寄り同士が介護しあう方がいい 日本が初めて体験する高齢化社会を“明治維新”と同じようなものだと話す。
「日本はどこにも手本がないことを体験するのだから大変。しかし、お年寄りや老人ホームを見てきて皆さん明るくなったと思います。

そういう意味では8割は成功していると言えるでしょう。
でも、福祉には“モノの福祉”と“心の福祉”とがあり、クルマの両輪のようになってこそ初めて本物。私たちはモノの慰問ではなく、心の福祉を引き受けて行きたいと思っています」。
また、老人ホームを廻っている中で高橋圭三さんは「お年寄り同士が介護しあうことを進めていただければ、大変いいなあと思うのです。ヘルパーに頼らずに、手の効く人が手の効かない人を助けてあげたり、トイレに行くにも介護してあげれば、お互いのリハビリにもなり生き甲斐を感じますよ。
自分が役に立っているんですから・・・」と提言している。
「虹の会」の会員は現在97名いる。厚生省の進めている「明るい長寿社会推進機構」とも連携を取りながら、イベントにも参加協力している。
また、各市町村が企画する講演会やイベントについても、要望に合わせて芸能人の派遣対応もしている。
そして、老人福祉施設への慰問の要望は、スケジュールが合えば訪問してもらえるようだ。