杉原 輝雄さん(当時57歳)プロゴルファー

1995年04月-月刊:介護ジャーナル掲載より

生きている以上負けたくない。コツコツと努力あるのみ。

1メートル62センチ、57キロと小柄ながら最多勝利を誇る杉原輝雄プロ。大阪の名門「茨木カントリー」でキャディのアルバイトをしたことがきっかけでこの世界に入った。57歳という高齢ながら、ツァーでの活躍ぶりは衆目に値する。いい時も悪い時も、とにかく練習。ゴルフから離れたくないという、徹底した努力の人だ。

●持病にも淡々と向き合うドクダミエキスがお気に入り

杉原さんには腰痛の持病がある。昨年はトーナメント棄権という事態にも見舞われた。だがご本人は、「50年も使っていれば負担もかかりますよ。機械だって同じでしょう」と、深刻ぶったところがない。「はり治療とリンパ療法を受けてます。リンパ液が流れやすいように手で刺激するというもので、どちらも試合中にやってもらうこともあります」健康面でも、試合前だから、試合がないからといった区別は特にしていない。「ただ、いいと言われるものにはチャレンジしますよ。ドクダミの葉も生で食べてましたし。それが縁でコマーシャルの話がきて、今は朝夕、ドクダミエキスを飲んでます。利尿作用があるし、便秘やアトピーにも効くと聞いてます」。

●ジャンボ尾崎の出現が節目他人頼らず、練習あるのみ

杉原さんのゴルフ人生にとっての節目は、ジャンボ尾崎さんの出現だった。「プロ野球から転向してきて、やれるのかなぁなんて思ってたけど、体格がいいから距離が出るでしょう。自分のゴルフを考えさせられましたね」いいとき悪いとき、いろいろあってプロ生活38年。あまり験(げん)をかついだり、誰かのアドバイスを頼りにしたりという方ではない。「頼めば教えて下さる方がいますけど、意地もあるし、恥ずかしいという気持ちがあって…。やっぱり練習だと思います。スランプで投げやりになる、これもひとつの休養だろうけど、僕は常にゴルフに携わっていたいというか離れてはいられない。かといって、がむしゃらにやったわけでもないんですけど」。どこまでもコツコツと努力する練習の虫だ。ゴルファーとしての限界は、トーナメントに出られない時ではなく、出場しても結果が出ないときと決めている。「ただ出てるだけではダメ。今年の成績が悪ければ来年出ても仕方がない。ただ悪い原因がわかっていて来年の勝算があれば、チャレンジします」

●ゴルフも人生も、うまい話はない結果より過程が大事

ゴルフと人生は同じと杉原さんは言う。「一気に大もうけしようと思ったら大ケガしますね。そんなうまい話はないわけだから。ゴルフも急にうまくなったと思っても、またもとに戻ったりする。これもひとつの体験で、上ったり下ったり横へ行ったりしながら、やがてうまくなってゆく。やはりコツコツとやることが大切なんです」たとえ結果は悪くても、その過程を楽しみ、数字ばかり気にしないことがゴルフ上達法のようである。「生きている以上は負けたくない、という気持ちがありますね。ゴルフ界だけじゃなくてね。できるだけ前向きにと、たまに思ったり。これは自分を守るためでもありますけど。そして生まれてきた以上はちょっとでも役に立てたらなと思ってます」